1日目―プロローグ―

 知らないことを知るのが好きだった。

 退屈な日常を紛らわせることができるから。結果を出せば、研究所での立場が安定になってできることが増えるから。 

 だけど、こんなのは知らなくて良かった。

 20年以上を過ごしてきた研究所に地下牢があることも、裸に剥かれる心細さも、鞭で叩かれる痛みも、どれもこれも知りたくはなかった。

「おい、まさかこの程度で根を上げたとは言わないよな」

 呆れたように言う真壁沙羅を、梓は睨む。

「……自分が何してるか、わかってるの」

「当然」

 返事とバラ鞭が空気を裂いたのは同時だった。

 手を吊り上げられた状態で拘束された裸の臀部に鞭がさく裂し、梓は痛みに体を硬直させる。

「っぐ、ぅぅっ……っ!」

「飼い猫には、自分の立場を思い知らせる必要があるだろう」

 調教だ、調教。とよく通る声で告げて、沙羅は梓の顎を持ち上げる。

「貴様は一生、この中で生きてもらわないと困る。それが最近、どうにも外の世界に興味を持ってしまったらしいな? だから、一度徹底的に堕としてあげる必要があるとのことらしい」

「私の不在で、どれだけのプロジェクトが止まると思ってんの……」

「さあ。なるべく早くとは言われているが」

 鞭で背筋を撫でてやり、梓の豊満な胸を鷲掴みにする。

 両指で挟んで乳首を刺激すると、梓は顔をしかめて言った。

「………っ、離してくれる? おばさん」

「不敬」

「っが、ぁ!」

 再びバラ鞭を受けて、白い肌を赤い筋で汚される。

 痛みで冷や汗をかく梓に、沙羅はため息をついた。

「私は弱い女に興味はないんだ。せめて心だけでも強く持って、私を楽しませろ」

「……言ってろ、脳弱のカスが」

「その調子だ」

「っぐ、ぅぅぅっ……! はあ、はあ……」

 裸の胸をふるふると揺らし、痛みに耐える梓。

 両手を吊られ、両足を開いた状態で枷に固定されて。

 四畳半もない狭いコンクリートの牢の中に、沙羅の声が冷たく響いた。

「お前の反抗心が折れるまでこの部屋から出しはしない。しばらくよろしくな。モルモット」

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