1日目―身体検査、及び、感度確認―

「…………ん」

 目を覚ますと、そこは白い部屋だった。

 学校の教室ほどの、真っ白な四角い空間。その中心で、妙に大きな椅子に座らされている。

 とりあえず、起きなきゃ……と立ち上がろうとしたが、まったく動かない重心に一気に意識が覚醒した。

「あ、起きた起きた。おはよう、怪我とかしてない?」

 服は着ているものの。

 肘掛け椅子に両手両足を戒められている蛍を見て、ゆるやかに笑う女性が一人。

「どうも初めまして。野茨梓って言います。これから数日か、数十日か、よろしくね」

「どうでもいいですけど! これ、早く外してください!」

 ガチャガチャと手を鳴らして、蛍は叫ぶ。

「不法侵入しちゃったのは申し訳ありませんけど! ちょっと迷ってしまっただけでこれはやりすぎです、訴えますよ!」

「嘘は良くないなあ」

「…………っ!」

 ずい、と顔を近づけられて、甘い匂いが鼻にかかる。

 唇を親指で撫でられて、ぞわぞわと背筋が粟立った。

「ここに来るまで、何個立ち入り禁止の看板があったと思う? そもそも迷ったなら降りては来ないでしょ。ここ、地下10階だよ?」

「それは! 出口もわからなくなって、とりあえず人を探そうとしたんです!」

「あーもう面倒だなあ、きみの素性は割れてるよ。朝宮蛍ちゃん」

「な、なんっ……!」

 首、胸、下腹部、太ももと服の上から手を滑らされて。

 くすぐるように太ももの内側を撫でられる。

 梓は反対の手で、蛍にとってなじみ深いトートバッグを掲げた。

「それ、……」

「侵入者なんてひっさしぶりだからね。ちゃんと色々調べさせたんだよ。研究室の裏口の生垣に隠してあったってさ。朝宮蛍ちゃん28歳、職業はジャーナリストかあ。まー怪しいよね、この会社。実際クロなわけだし」

「ちょっ、と! んっ、ふ……」

 ジーンズのベルトを外されて、手を中に入れられる。

 爪でかりかりと陰核のある場所を刺激されて、ぎりぎりと歯を軋ませる。

「今日は『被験体』の補充日だったから、それが良くなかったのかな。大方、搬入物に気付いたきみが、危険を承知で潜入して、個人情報の類はとっさに隠して行った、ってとこだろうけど。まー甘いね。残念残念」

「ん、ふ、あ、なに、するのよっ、こ、のへんたい! ぅあ、ああ」

「上手いでしょう、ちょっと自信あるんだー」

 下着の上からひっかいて、慣れさせないようにときどき陰部全体を手で覆って軽く震わせてやって。

 一度手を引き抜いた梓は、身動きの取れない蛍の顎をくいっと持ち上げる。

「………この状況で感じたんだ。へーんたい」

「なっ!」

 手が白くなるほど強く握りしめて、蛍は顔を振って梓の体温を拒絶する。

「ふざけないでよ! 警察に訴えたらあんたたちなんか全員すぐ捕まるんだから! どうせ真っ黒なんでしょうし、一生牢屋よ、覚悟しなさい!」

「訴えるのは裁判所でしょう。そんなに吠えると弱く見えるよ? まあ元気が良いのは良いことだけどさ」

 蛍の体温と、陰部の湿り気が残った手で、白衣のポケットに手を入れる。

 リモコンを取り出して、いくつかボタンを押す。

「あ、ちょ、っとっ!」

「すごいでしょ、それ」

 心臓に悪い駆動音がして、蛍の足が無理やり開かされる。

 太ももと足首にベルトを巻かれたままでは何もできず、90°ほど開いたところで止まった。

「介護部の試作物、寝たきり老人用多機能ベッドをエゴイスティックにいじった結果だぜ。大体の姿勢はこなせるしお世話もしてくれるからねぇ」

 敏感なところを晒された蛍に、再び梓は手を伸ばす。

「ほら、きみ結構敏感な方でしょ? あんまり我慢しない方が良いと思うよ?」

「だ、れが、ぅ、あ、ん………っん、ぅ」

「まあ私も慣れっこだから人より上手ってこともあるんだけどね、ほら、さわさわ」

「こ、んなの、くすぐった、い、だけだから」

「ぐりぐりー」

「ん、ああっ!」

 わざと付け根辺りをくすぐって焦らしてから、一気に陰核に指を押し込む。

 こらえきれずに声を上げた蛍の耳に舌を入れて、梓は言葉を重ねる。

「良い鳴き声だね、可愛い」

「ん、んん! 舌、やめ、汚い、でしょ、ん、うっ」

「そんなに力むと疲れるでしょう? 一回いかせてあげるから」

「ばっかじゃないの、ぅ、ああ、そんな、気持ち悪い、だけ……」

「ふうん」

 意識的に低い声を出して、梓は耳の奥まで舌をねじ込み。

 もう片方の手を胸に伸ばした。

「わかってないみたいだから教えてあげるけど、君に自由なんてないんだよ」

 耳と、乳首と、陰核と。

「ん、あ……っ⁉ ま、まって、まってっ!」

 痛みを感じないギリギリまで強く刺激して、梓は底冷えする声でささやいた。

「私がいけって言ったらいくんだよ? 蛍ちゃんはもう、私の玩具なんだから」

「まってまってまっ、て、あ、あ、ぅあ、………ん、ぅ、ああ、あああああああああああっ!」

 

■■■

 

「はい、お疲れさまー」

 愉悦の震えさえほどんど戒められて荒い息を吐く蛍。

 その中心から指を引き抜き、梓は手に着いた愛液を弄ぶ。

「どうかな? これから毎日こんな感じだけど、心折れちゃう?」

「………だれがっ」

 上気した体に苛まれながらも、蛍はせいいっぱい梓を睨んだ。

「絶対、許さない……。あんたも、この会社も、全部、ぜんぶ!」

「…………あは」

―――最近は、この時点で折れちゃう子ばっかりだったからなあ。

 久しぶりにこちらの嗜虐心を昂らせてくれる返答を聞いて、梓は口角を歪ませる。

「そっかそっか。じゃあ頑張ってね。ちょっと私は席を外すから、その間に洗浄してもらって」

「洗浄…………?」

「百聞は一見に如かずってねー。ああでもその前に」

 リモコンの赤いボタンを押すと、何かを巻き込むような音が響いた。

 ような、というか、実際に蛍の衣服がベッドの隙間に巻き込まれた。

「なに、く、るし……っ」

「まあ、すぐ終わるから」

 実際、すぐに終わった。

 唐突に締め付けが弱くなったと思ったら、巻き込まれたであろう部分がきれいに切断されたセーターがはらりと落ちた。

「ち、ちょっとっ!」

「はい残りも―」

 ジーンズとシャツも梓の手によってはぎとられる。

 下着だけにされた蛍に、梓はため息をついた。

「やっぱスマートには程遠いよねえ。下着も取れればいいんだけ、っど」

 結局、持ってきていたはさみで下着も切って容赦なく取り去る。

 両手に収まるか収まらないかぐらいの胸も、運動で引き締まったお腹や太腿も、辱めで濡れた陰部もすべてが外気に晒される。

 作業のように一糸纏わぬ状態にされて、蛍は。

「……へえ、睨んでくるんだー。とってもいいね、可愛い」

「……ぜったい、ぜったい、ゆるさないからっ!」

「そうだねー、許せないねー。ほらぐりぐりー」

「ん、ああっ! あ、うう、ううううううううっ!」

 開いたままの陰核を押されて、声を漏らす。惨めな自分に涙がこぼれそうになる。

 恥ずかしくないわけがない、できるなら泣いて助けを叫びたい。

 だけど、一度でも折れたら、終わってしまう。

 気丈に睨む蛍だったが。

 射殺さんとばかりの目を向ける玩具に笑顔を返して、梓はさらに絶望的なことを告げた。

「じゃあ後は洗浄だから、私は外すね。どれぐらいで終わるかは蛍ちゃん次第だけど、あんまり我慢しない方がいいよ」

「これ以上なにするつもりよ!」

「だーかーらー洗浄だよ、ここの」

 といって、梓は蛍の下腹部を指で押した。

「基本的に君、これからずっと点滴と流動食だから。虐める過程で粗相をされても困るし、中まで綺麗にしないとね」

「…………え、うそ、でしょ」

「大丈夫、そのベッドは老人介護用って言ったでしょ。排泄補助もあるし臭いも残んないから」

「うそ、うそ、ねえ! ちょっと、ま、待ちなさいよ、この、悪魔っ!」

「ひどいなあ、これでも君より若いのに」

 それじゃがんばってー、と梓はあっけなく部屋を後にして。

 直後、肛門に何やら管のようなものが押し付けられるのを感じ、蛍は全身を粟立たせた。

 

■■■

 

「やあやあただいまー。にしても3時間って、けっこう我慢したんじゃないのきみ」

「ゆるさない、……ぜったい、ゆるさない……っ」

 頬に涙の痕を残して、なお睨んでくる蛍に、梓はいよいよ興奮を抑えられなくなる。

―――久々に良い子が来たなあ。

 リモコンを操作して、体勢を変えさせる。

 磔にしたのち、100°開脚。

「いやあ、恥ずかしかったでしょう。成熟した女性がモニター越しとはいえ監視されながらあんな、ねえ?」

「あ、あんただけは絶対にゆるさないっ! こんなことして何が楽しいのよ!」

「別に楽しくないよ。においキツいの嫌いだし。だから席外してたじゃない」

 いやー基本機能は完璧だねー、とまったく痴態の痕跡のないベッドをぺしぺしと叩いて。

 梓は両手両足を開かされている蛍の頬に手を添えた。

 間近でぱちっと目を合わせて。

「これで初日の工程は半分終わったよ、お疲れ様」

「………まだなにかするの?」

「そんなに嫌そうな顔しないでよ、虐めたくなるじゃない」

 こきこきと指を鳴らして、梓は蛍にしなだれかかる。

「これから君は侵入した罰として、半分は見せしめ、半分は私の暇つぶし用に快楽漬けにされるわけだけど」

「…………やれるもんならやってみなさいよ」

「でも、どこがどれぐらい敏感かわからないとやりにくいからね。というわけで」

 つー、と下腹部を撫でて、下生えをいじる。

「初期感度を知るために、一通りの場所でいってもらうね」

 

■■■

 

「ふ、あ……ああああああああああああああっ!」

「Gスポットで1分12秒。……やっぱりきみ敏感じゃない?」

「さっきから、あんなにされてたら、こうなるに、決まってるじゃない……っ!」

 陰核から始まって、二か所目の絶頂を強制される。

 整える間もなく荒い息をする蛍に、梓は張形を取り出して、濡れそぼった膣内に挿入する。

「い、ふっ、ふう、あっ!」

「痛くないでしょそんな太くないし。じゃあ次はポルチオね」

 淫らな水音を立てて、蛍の呼吸と合わせるように張形を上下させる。

「ふ、あ、あ、あああ、っあ、ぅ、ん………んう」

「あー、こっちは鈍いね。あんまり男性経験はなさそうだ。まーこれからもそんな機会はないんだけど」

 結局、五分ぐらい抽挿を繰り返していたら絶頂を迎えたけれど。

―――たぶんこれ全然違う場所でいっちゃってるなあ。

 奥はまだ未開発、と、頭にインプットして、梓は張形をしまう。

 それを見て、何か勘違いしたんだろう。

 蛍は真っ赤に上気した顔で梓を睨む。

「………気は、済んだ? 終わったなら消えてよ。あなたの顔なんて、見たくない」

「つんけんしないでよ、悲しいなあ。それに、全然まだ終わりじゃないし」

 え、と声を漏らす蛍の乳首を軽くはじいて。

 んぅ、という反応を楽しむ。

「まだ胸もやってないし、首、脇、耳、足の裏、あと肛門と尿道もやってないでしょ」

「ば、っかじゃないの! そんなとこで、……っ!」

「そこだけで無理ならもう1か所同時に刺激するだけだよ。1番感度が鈍かったのは膣だから……そうだね。もしイけないようなら、張形を出し入れしながら参考記録だけ取っとこう」

 蛍の大きな目に絶望がちらつくのを見て。

 梓はにたりと笑って、蛍の胸に手を添えた。

 

■■■

 

「あ、あ、ぅあ、はっ、あああああああああああっ!」

「はは、なあんだ。耳だけでイけるじゃん。蛍ちゃんったら敏感ーだなあ」

 

「は、は、うう、くすぐ、った、ぅあ、ああ、あ、あああっ、ふあ!」

「足の裏はやっぱりくすぐったいだけかー。たまーにくすぐりで気持ちよくなる子がいるからリストに加えてるけど、こりゃ望み薄かな。あ、うんもうわかったから、さくっとイって次行こうね」

 

「なん、で、そんなとこで、わた、し。んあ、う、あ、………んんんんんんんっ!」

「肛門は素質ありだねー。まだそこだけじゃ無理そうだけど……はは、可愛いからおまけにもう一回イっとこうか。気持ちいいところ全部触ってあげる」

「ま、ってっ! まってまってまって! も、むり、やすませ、あああっ! あっ、あっ、ああああああああああああああああああああああああああっ!」

 

■■■

 

「はいお疲れー」

「あ、うあ、…………う、あ」

 結局、既定の回数が終わった後も梓に玩具にされて。

 全身から汗と涙と愛液を搾り取られた蛍は、磔にされた体から力を抜く。

 その、疲労と官能にまみれた顔を見る。

 汗ばんだ額に張り付く髪、ほんのりと色づいた頬、赤く濡れた唇。

 そして。

「やあやあ、どうかな? 明日からもこんな感じだけど、心折れちゃったかな? 諦めて快楽に溺れたほうが楽になれるかもよ」

「…………だ、れが、っ。あんたたちは、ゆるさない、ぜったいに、暴いてやる……っ。ぜったいに」

―――そして、これだけやられても折れない、大きくて真っ直ぐな、瞳。

「ふふ、あむ」

 唇を合わせる。

 必死に酸素を取り込んでいた蛍を喰らい、口内を蹂躙する。

「んんっ! んー! んんんんんんっ! っぷは、な、何するのよ!」

「えー? 健気な玩具にご褒美をあげよっかなーって」

「………ほんっとう、に、気持ち悪い」

「本気のトーンで言わないでよ傷つくなあ」

 本当に良い、とても良い。良いおもちゃだ。

―――すぐに壊すのは、もったいないなあ。

「じゃあお詫びに、蛍ちゃんにも勝ち目をあげる」

 ぱん、と手を打って、梓は人差し指を立てる。

「100日。100日間、私の責めを受けて敗北宣言をしなかったら、その時は私が責任を持ってここから出してあげる」

「…………は?」

 蛍は目を見開き、次いで訝し気に細めた。

「……信じられるわけないでしょ」

「まあそうなんだけどさ。……じゃあせめてもの誠意を見せよっか」

 というと、携帯端末を取り出して、いくつか操作をする。

 画面を蛍に見せた。

「はい、復唱」

「………えっと、『以下の指紋を、100日後に幹部権限として登録する。命令取り消しは、パスワードと、登録予定の指紋認証でのみ可能とする』」

 そして蛍の右腕の戒めを外すと、端末を渡して背を向けた。

「ちゃちゃっと決めちゃって。変な操作したら履歴ですぐバレるからやめときなね」

 端末を手に、蛍は目の前の女に目を向ける。

 正直、これがあっても逃げられる保証はないに等しい。

 第一にして磔状態なのだから、指紋もなにもあったものではない。

 だけどまあ。

―――この状態のままでも、逃げられる気は、しないし……。

 信じはしないが、やることはやる。

 パスワードと指紋の登録をして、端末を梓に返した。

「……………約束、守りなさいよ」

 そして、敵意をむき出しの目を向けられて。

「あっはは、可愛いなあ」

 梓は心の底をぞくぞくさせて、蛍にもう一度軽いキスをした。

「これから100日、楽しもうね。蛍ちゃん」

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