2日目―陰核鋭敏化―

「やあやあおはよう。よく眠れたかい?」

「ね、むれるわけないでしょ……」

 ベッドに大の字に拘束されたまま、蛍は気丈に梓を睨む。

 その顔は赤く火照っていて、陰部は匂い立つほど濡れていた。

「えー、贅沢だなあ」

「ん、うっ! やめなさいよっ、……ああっ」

 振動片の上からぐりぐりと刺激してやれば、顔を振って悶える。悶えるけれど、逃げられない。胴と太ももをベルトで拘束されている蛍は、梓の責めをすべて受けるしかない。

「初日は手加減して、深夜帯は止めてあげてたし、今だって止まってるじゃん。ねえ、ほら」

「やめて、やめろっ……っ、ぐりぐり、するなあっ」

「馬鹿だなあ、感じますって言ってるようなものじゃん」

 わずかにしか動かない腰をさらに上から押さえつけ、梓は蛍の胸を舐める。

「ほーら、ぐりぐりー」

「あ、ああっ、くあ、ああっ! っ、あっ」

「同性に好き放題されて朝からイっちゃったらいよいよ変態だねー」

 覗きこまれるようにして煽られ、蛍は目を吊り上げる。

「だれがっ! あんたなんかの手でっ!」

「良いねえその顔、でも残念」

 ぱちりと意志の強い目があった瞬間。

 梓は指でGスポットを抉り、振動片のスイッチを入れた。

 一気に敏感なところを刺激されて、押し寄せる快楽に息が詰まる。

「かっ、はっ、―――――っ、あああ、ぁあああっ!」

「睨んだままなんだ、本当に好きだなあ。じゃあそのまま悔しそうにイってね」

 ぎりぎりと奥歯を噛み締めて。

 吊り上げた目に涙を浮かべて。

「このっ、いや、いや、いやっ、あ、あ、ぅ、あ、―――んっ、ああああああああああっ!」

 必死に梓を睨んだまま、蛍はびく、びくっ、と腰を震わせた。

 

■■■

 

「さて、本題に入ろうか」

「……ぅ、じゃあ、これ、とめてくれない……っ、かしらね!」

 弱のまま振動を与え続けられる蛍を無視して、梓は天井を指さす。

 そこにあるのは、『経過日数:2/100』『機械停止:0/100』というパネルで。

「昨夜、機械停止のカウントが一回も進まなかったんだけど、どういうこと?」

「なんであんたの思い通りに動かなきゃいけないのよ」

「いやあ、体力温存させてあげようっていう優しさなんだけどなあ。あ、もしかしてそれ気に入っちゃった? じゃあ強くしてあげないと」

「違―――ん、あっ、~~~っ、とめ、とめなさいっ、あ、ぅ、あっ!」

 ダイヤルを強に入れると、面白いぐらいに体がこわばる。

 わきの下とお腹をくすぐるように触っていると、蛍は体をびくつかせながら鼻に抜ける声を上げ始めて。

 果てそうになったところで、梓はスイッチを切る。

「んんんんっ、ん、あ、ぅ、っふ、ぅ」

「イキそうなところごめんね、話が終わってないから」

「……気持ちよくなんかないっ!」

「ふうん?」

 梓の声のトーンが下がる。

 蛍の前髪を掴んで顔を近づけ、無表情で言うには。

「じゃあもし今、スイッチ入れてすぐイったりしたら、今日の『お話』はすごーくきつくするけど、いいんだね?」

「ぐっ、………っ」

「『嘘ついてごめんなさい、イキそうです』って謝るなら許してあげるよ」

 傷が残らないように、痛みがぬるくならないように。

 絶妙な力加減で追いつめる梓に、一糸纏わぬ体を晒す蛍は息を詰まらせる。

 冷静に考えれば、ここで意地を張るべきではない。

 嘘でもいいから謝るべきで、生殺与奪を握られているうちは怒らせない方が賢明だということは、よくわかる。

 だけど。

 間近にあった梓の顔に、蛍は唾を吐きかけた。

「………、っ」

「お生憎様、こ、の程度で、折れると思わないでくれる」

 梓は頬を濡らした唾液に手を当てて、白衣の袖でゆっくりと拭く。

 緩慢な動作で蛍の女陰の中に指を差し込んだ。

かちかちかちと、ダイヤルも最強に回す。

「そっかそっか、いやあ本当にサービス精神旺盛で助かるよ、蛍ちゃん」

「く、あ、っあ、う」

「イけ」

「っく、あっ⁉ は、げし、っく、~~~っ、ふっ、ゔぅううっ! ――~~~~~っ‼」

 ぎし、ぎし、と。

 口ではなんと言おうと、ベッドの上で火照った体を無様に跳ね回る蛍を見て、梓は唇の端を歪ませた。

 

■■■

  

 朝から大きな絶頂を繰り返し与えられてぐったりとする蛍を見て機嫌が直った梓は、ポケットからピンク色の液体が入った小瓶を取り出す。

「じゃーん、これなーんだ」

「……どうせろくでもないものなんでしょ」

「ひどいなあ、開発部が泣いちゃうぞ。まあ私もそこなんだけど。これでも史上最年少の主席研究員なんだぜ」

「あんたが絡んでるってことは、ますますロクでもなさそうね」

「ははっ、まあそう言わずに」

 小瓶を開けて、梓は中に入っている粘性の強い液体を手に貯める。

 くちゅくちゅ、と弄んで言うには。

「暇つぶしに媚毒の研究なんかもやってるんだけどさ。最新のがこれね。粘性が強いから塗ったらそのまま留まって肌に浸透する優れものだよ」

「……なにが起きるのよ、塗ったら」

「簡単に言うと感度があがる。最低でも3倍。親和性が高ければ5倍ぐらいかな」

「あ、ちょ、っと、ふ、ぅぅ、ん」

 くちゅ、と陰核を人差し指でつつき、既に膨らんでいたそこに媚毒をまぶす。

 くるくる、ぐりぐり、と擬音交じりに蛍を弄び、梓は楽しそうに話を続ける。

「いやあ、確かに私も配慮が足りなかったよ。一晩で100回なんてイけそうもなくて、昨晩は黙りこくってたんだよね。これから1週間かけて、責任もってたくさんイける体にしてあげるからね」

「あ、ふ、ぅ、んん、~~、あ、っ、やめろ、やめ、っ、ああっ、あっ」

「あはは、可愛いなあ。即効性も結構あるから、もう疼いてきたんじゃない」

「ふざけ、るなっ、どこまで人の体を玩具にすれば気が済むのよ、あ、あっ! ――~~~っ!」

 疼くなんてものじゃなかった。

 怪しげな薬を塗られた陰核が、火がついたように熱くなって、蛍は無駄だと思っていても必死で太ももを内側に向ける。

 誘っているようにしか見えないとわかっていても、腰を振るのを抑えられない。

 ひとすくいの媚毒を丁寧に蛍の肉芽に塗り込んで、梓は仕上げとばかりに親指で押した。

 がく、がくっ、と腰を突き上げてまとまった量の愛液が噴き出たのを見て、満足げに鼻を慣らす。

「ここから見ると良い絵だよ。ひくひくしたピンク色の陰核もたくさん濡れた陰裂も、そこから肛門まで愛液が滴ってるのも全部見えてるよ」

「う、るさいっ! 言うな、言うなっ!」

「これで感じてないとか言ってたの? ほらほら、もう一回言ってみなよ」

「うるさ、あん、あ、あ、あん、あ、さ、わるなぁぁああ、あ、あ、あぅ、………っ」

「おっとあぶない」

 果てそうになる蛍を、寸前で止める梓。

 黒い笑みを浮かべると、腰まである長い髪をひと房集めて、蛍の前に掲げた。

「イキそうだったでしょ。残念だったね。でも安心してよ、もっと愉快な方法で果てさせてあげるから」

 そういって、梓は束ねた自分の髪で、さわさわと蛍の陰核を撫でる。

 くすぐったいような刺激が来ると思っていた蛍は、直後に襲ってきた快感に目を見開いた。

―――うそ、うそっ! こんな、これだけで、そん、なっ!

「気持ちいいでしょう? まあそうだよね。本来10倍に薄めるものだし、これ」

「なっ、この、ふざけるなっ、あ、――~~~ん、ぐぅぅううッ!」

 梓の言葉に愕然として睨みつける。

 だが、そんな余裕もすぐに流されて、陰核の刺激に耐えるだけの肉になり下がった。

「原液は感度が戻らなくなるから非推奨なんだけどね。まあ蛍ちゃんがきついのを望んだから仕方ない仕方ない」

 こしょこしょー、とふざけきった調子で声をかけられて。

 こめかみを押さえられて至近距離で目を合わせられ、陰核を刺激されたままの蛍は梓の顔を見せられる。

 いたずらっ子のような雰囲気と冷徹な研究者の顔が混じった端正な顔立ちは、片頬を上げていて。

「腰が震えてるよ、憎い相手の前で恥ずかしい顔晒すの、どんな気分?」

「……知りたかったら、代わってあげる、わよ……っ‼ ん、はあ! あん、あうっ!」

「あはは、無様な姿が良く似合うね、蛍ちゃん。大好きだよ」

「あ、あ、あああっ! ううぅぅゔぅあああっ! ああ、~~~っ、あんっ‼」

 必死に耐えても、両手両足、胴に太ももと全身を抑えられては我慢できるわけもなく。

 道具どころか一房の髪で頂点を極めさせられた蛍の目尻から、一筋涙が零れ落ちた。

 

■■■

 

「さて、と。まあ明日から平日だし、腱鞘炎とか怖いからこれぐらいにしようかなあ」

 それからさらに2時間ほど。

 ときに激しく、ときに玩具のように好き放題遊ばれた蛍は、ようやく中断した梓の愛撫にくったりと全身の力を抜く。

 秘貝から指を引き抜いた梓は、白みがかった蛍の愛液をちろりと赤い舌で舐めて、笑う。

「うっわあ、濃いなあ。二日目でこんなに屈服しちゃって、恥ずかしくないの?」

「う、るさい……、ふ、ぅ……。こんなの、されたら、誰だって……」

「さすがに元気ないねえ、次のが気つけになると良いけど」

 そう言って取り出したのは、プラスチックの管。

 指サックをプラスチック製にして、中を繊毛で満たしたようなその器具に、蛍は嫌そうな目を向ける。

「……………どうせ、またろくでもないんでしょ。この変態」

「手厳しいなあ。まあ、気持ちいい=ろくでもないなら、その通りだけど」

 よいしょ、っとベッドの横についているチューブにその器具を繋げると、梓は蛍の陰核を指で弾く。

「………っ」

「うん、大きさは充分だね。じゃあこれを被せてっと」

「ちょっと、なにして、っ、ふ、う」

 陰核が繊毛に包まれて、思わず甘い声を上げてしまう蛍。

 それを無視して、梓はリモコンを操作した。

 直後、ベッドから怪しげな機械音がして、掃除機の吸引を小さくしたような音が響く。

 そして。

「ぅぅぅ、ああああうっ‼ なに、こ、っれ、あ、っああっ」

「ずーっと吸われ続けたら、大きさも戻らなくなっちゃうかもね。で仕上げにこれ」

 小瓶の中身を管の中に入れて、もう一つのスイッチを入れると、今度は繊毛が回転しだした。

 敏感になる媚毒がべったりとまとわりついた繊毛で陰核を磨き上げられて、蛍はベルトを引きちぎらんばかりに腰を突き上げる。

「あ、あ、まって、これだめっ! とめて、とめてとめて―――~~~~っ! あっ! ゔぁあああああああっ!」

「あはは、すごい乱れっぷりだなあ」

「あああああっ! ぅぅぅゔゔゔぅあああああああぁぁぁぁっ‼ お、ねがっ! ひんじゃ、死んじゃうっ、ああ、ぉおああぁぁあああああっ、――~~~~っ‼」

「あーあー、ベッド壊さないでね? それ特注なんだから」

 のたうち回る蛍の狂態は無視して、梓はポケットからスケジュール帳を取り出す。

 ぺらぺらとめくり、あーでもないこーでもないとボールペンを走らせて、曰く。

「うん。次の土日はまた休めそうだから、そのときになったら様子を見に来るね?」

「あ、あん、あ、あああっ、ああ、っぐ、っくあ、ぅぅあああぉぉおぉあああああっ!」

「会話にならないじゃないか、まったく」

 一度スイッチを切ってやると、蛍もスイッチの切れた人形のようにがくっと首を折る。

 その顎を掴んで引き上げて、梓はにっこりと笑った。

「来週の土日。5日後にまた様子を見に来てあげる。あくまでこれは副業というかリフレッシュだからさ、これでも多忙なんだよ、私」

「え、い、5日後って、それまで……」

「大丈夫、私がいなくても規則正しく生活できるよ。流動食だけどご飯も食べさせてくれるし、下の世話も万全だし、空調も効いてるから。だから安心して喘いでてね」

「あ、あえぐって、うそでしょ、ねえ!」

「ざっくり言うと、日中にこれで陰核の感度上げるでしょ。で夜は深夜以外は振動片だね」

「い、いや、まって、まって! まってよ!」

「え、じゃあなに?」

 そのまま踵を返そうとする梓に必死で呼びかけると、振り返るのは悪魔の顔で。

 白衣から携帯端末を取り出して、首を傾げる。

「教えてくれるの? パスワード」

「…………うううぅぅううゔゔゔううううううぅぅぅうぅっ!」

「あれー? どうしたのうつむいちゃって? もしかして泣いちゃった?」

 5日なんて、どうにかなってしまう。

 耐えられたとして、自分の体がどうなっているかなんて想像もつかないし、心が保つかもわからない。

 でも、いや、だからこそ。

 ぽろぽろと涙をこぼしながら、5日間来ないという悪魔に、梓は思いっきり声を叩きつけた。

「いくらだって好きにしなさいよ! 体がおかしくなったって、日常に戻れなくなったって、あんたたちだけは絶対に地獄に堕としてやる、私が堕とされたって道連れにしてやる‼ それまでせいぜい、いい気になってればいいじゃないっ!」

「あはっ。ああ、最高だよ。蛍ちゃん」

 両腕で自分の体を抱いて、ぞくぞくと体を登ってくる衝動を抑え込みながら。

 梓はスイッチを入れて帰っていった。

 そして一人残された蛍は、繊毛に陰核を好き放題に弄ばれて、さっそく体をこわばらせる。

―――5日も、保つか、本当に分からない。でも、負けない、ぅあ、まけ、ないっ。

―――あっ、あ、ぅあ。だめ、敏感になりすぎてて、抑えがっ……!

―――涙が、また……、舐められちゃ、だめ、なのに。体も、こわばって……!

―――あ、あ、ああっ、もう、だめ、だめ、だ、めっ!

「―――~~~っ! ぁぁぁああああああああああああぁぁぁあぁ!」

 媚毒に蝕まれた陰核への責めで、さっそく1回目の絶頂を迎える蛍。

 背骨を軋ませ、腰をベッドに打ち付けて、潮まで吹いても、経過したのはたったの3分で。

 これから続く永遠にも思える拷問に、心も体も震わせた。

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