71日目―妹からの―

 梓がどこかに去ってから、蛍はアイリーンの寝室、棺桶の中で飼われていた。
 とはいっても、平日の日中は、依然と変わりなく、運動と子飼いの奴隷による排泄、洗浄をさせられていたが。
 幕を取られて、両手両足を縛られた蛍は、上から覗き込んでくるあかりに唇を噛む。
―――あんた相手が、一番いやなのに。
 するりと棺桶の中に入ってきたあかりは、蛍の後ろを取って、胸と太ももに指を這わせた。
「………ぅ、……」
「私がするといっつも声、我慢しようとするよね。いまさら感すごいよ、お姉ちゃん」
「うる、さいっ、わよ……ふ、ぅあっ!」
「ほら、どうせ我慢できないんだから。っちゅ、む」
「みみ、噛む、なぁぁ、っく、あんっ」
 熱く濡れた舌で耳を舐められて、屹立した乳首を後ろからつままれる。敏感な突起をこね回されて、蛍はぐりぐりとあかりのお腹に腰を押し付ける。
「どうしたの? なにかのお誘い?」
「ばっ、かじゃない。脳味噌、湧いてんじゃない、の……っ」
「む、ひどいことを言う。お仕置き」
 するり、と股の間に指を入れられて、蛍は体を苦の字に折り曲げた。
 内腿に力を入れて必死にあかりの指を止めようとするが、陰核を捉えられてしまい、くにくにと指の腹で刺激される。秘所からはとっくに愛液が滴っていて、それを潤滑油に、あかりはすっかり充血しきった蛍の急所をこね回した。
「あら、楽しいことしてるじゃない」
「あ、主様」
 棺桶の外からアイリーンが覗いてきて、蛍とあかりは同時に顔を上げる。
 蛍は悔しそうに顔をゆがめてそっぽを向き。
 あかりは静かな笑顔を返してくれる。
 棺桶を指で撫でて、アイリーンは言った。
「楽しそうだから見せてもらいましょうか。あかり、蛍さんの顔、こっちに向けてもらえる? で、なるべく気持ちよく果てさせてあげて」
「かしこまりました」
「な、あ……っ、ちょ、っと!」
 ぐに、と頬を掴まれて前を向かされ、残った指はGスポットと陰核に添えられる。
 さらに耳元で、あかりは囁いた。
「お姉ちゃん、耳弱いよね」
「ひゃあ、あああ……、やめ、なさい、よっ、く、ああ」
 本当は足を広げさせられれば楽なんだけど、と思いながらあかりは蛍を後ろから抱きしめて、ねっとりと舌と手で愛撫する。
「あ、あ……あああ、ぅ、ああああ………っ」
「ゆっくりゆっくり、気持ち良くしてあげようね」
 一気に触りつくせば数秒で果てさせるが、それはたぶん主様の要求とは違うだろう。
 耳を舐めるのはそのままに、あかりは少しずつ蛍への官能を高めていく。乳輪を軽く擦って、直後に陰核を撫ぜ。膣内に入れた指を、気まぐれに曲げる。
 蛍の震えが激しくなってきたら、陰毛を弄んだり鼠径部をさすったりして、焦らしながら少しずつ官能を試させる。
 五分もするころには、薄く口を開けた蛍が、しっとりと上気した顔を晒していた。
「く、っそ……ぉ、っひ、あ……うぁ…ん」
「とっても恥ずかしい顔してるでしょ、お姉ちゃん。いつもあんなにきりっとしてたのになー」
「だ、まれ、あ、ぅあんっ!」
「恥ずかしい思いしたくなかったら、お姉ちゃんも私たちと一緒に、楽しむ側に回ろうよ」
 あかりに囁かれても、蛍は揺らがない。
 動かない体を必死に振って抵抗し、後ろにいるあかりに吐き捨てた。
「……い、ってろ。この、愚妹」
「む、愚妹はひどい」
 ちょっと傷ついた。
 焦らす目的を外した激しい愛撫を与えられ、蛍は嬌声を絞り出される。
「あ、くぅぅっ! っくあああああああああっ!」
「はーいそこまで」
 まさに果てる直前、頭が白く染まり始めていたタイミングで、アイリーンがぱんと手を打った。
 とたんにぴたりと止まる愛撫に、蛍はかくかくと情けなく腰を震わせて、浅い息を吐く。
「はっ、はあ……はあ、ぅ……」
「お楽しみのところごめんなさいね。今日のあなたには用事があるものだから」
「……なによ」
 どうせろくでもないことなんでしょ、と睨みつける蛍の目線を受け流して、アイリーンは妖艶に笑う。
「梓の様子、見に行きたくなあい?」
               
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「いちいち縛ったりほどいたりするの、ちょっと大変なんですけど。どうにかなりませんか?」
「あー、じゃあ権限認証の枷に代えようかしらね。指紋で開く奴。ちょうどあのクソ女の権限も引っぺがしたところだし」
 かつん、かつん、と地下に降りていく。
 道中から蛍は、嫌な予感に包まれていた。
 そもそも場所がまともじゃない。暗くて狭くて、牢屋が並んでいて。今のところ無人だけれど、こんなところにいる時点で……。
 野茨梓は、牢屋が並ぶ階の最奥にいた。
 アイリーンに連れられて正面に来させられた蛍は、梓の変貌ぶりに息を呑んだ。
 最も目につくのは、やはり色の変化だった。雪のように白かった体にはびっしりと赤い線が入っていて、床には血の染みが広がっている。
 吊り上げられた手首は枷が食い込んで擦りむけているし、強制的に開かされた股には張形が刺さっていて、今も振動音が響いていた。
「梓っ!」
 後ろ手に縛られたまま鉄格子に駆け寄った蛍が呼びかけても、返事はない。
 果てているのだろう、ときおり腰を震わせて愛液を滴らせるだけの梓にぎり、と奥歯を噛み締めて、蛍はアイリーンを睨む。
「……今すぐ、下ろせ。ぶっ殺されたいの」
「ああ怖い。でも、今のあなたに何ができるのよ」
「………い、いから、下ろせっ!」
 尖ったままの胸を弾かれてなお睨み続ける蛍を見て、アイリーンは楽しそうに笑う。
「まあ、そんなに睨まないでよ。今日はそのつもりで連れてきたんだから。あかり」
 アイリーンが呼び、あかりが動く。
 梓に突き刺さった張形を回収すると、次に枷に自らの指紋を押し付ける。
 戒めを解かれた梓を粗末な布団に横たえると、縛られたままの蛍を引き入れた。
「え、え?」 
「明日の夕方まで、特別に二人でいさせてあげる。……あ、そうだ」
 そう言うと、ふと思い出したようにあかりに言った。
「忘れるところだった。蛍ちゃんにあれあげた?」
「ああ、私も忘れてました」
 問われたあかりが取り出したのは怪しげな軟膏で。
 蛍の足を割り開いて、あかりはその軟膏を、蛍の肉壺に塗り入れた。
「な、ちょ、っと……んぅぅ! ……あ、ああ……」
 塗られた端から、強烈な疼きを発し始めて、蛍はしきりに内腿を擦り合わせる。
 それを見て、アイリーンはくすくすと笑った。
「手が使えないんじゃ自慰もできないわね。でも、まさか蛍さん。怪我した梓を使って快楽を貪ったりしないわよね?」
「…………こ、の。っく、そが、っ!」
 朝から焦らされたまま、一度も発散させられていない蛍が悶えるのを、楽しそうに見て。
 戒められたままの蛍と意識のない梓を放置して、二人はあっさりと去っていった。

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